ルワンダでの長距離飛行に向け,WASA時代に製作した電装を改良したシステム

電装システム改良のきっかけ

WASA時代の電装システムでは,通信モジュールを使用した1対1通信を基本としていたため,通信モジュールの電波到達距離である300mを超えた通信を行うことができませんでした.また,フライトの様子をリアルタイムで多くの人に閲覧してもらうこともできませんでした. そこで,改良版のシステムでは,取得データをモバイルデータ通信経由で,クラウド上のデータベースにアップロードし,そのデータを参照することで多くの端末で同時にデータを閲覧できるようにしています. これにより,長距離飛行を行う際に,飛行経路に立つ監視員がフライトを監視するのに役に立つだけでなく,多くの人がフライトデータを見ながら成功に期待を寄せることができます.

また,WASA時代に採用していたLipoバッテリーではなく,より管理が簡単なモバイルバッテリーを電源として利用したシステムに作り替えている.

データベースついて

データアップロード用に搭載したESP32は,パイロット用のスマホからのテザリングによりWifi経由でインターネットに繋がれており,Firebase Realtime Databaseにセンサ取得値をアップロードをしています. PCとデータベースの通信にはREST API,スマホ側はFlutterにて新たにアプリを作り,Flutterのツールを使用して通信を行っています.

パイロット用アプリケーション(スマホに最適化したサイトとなっています.)

追加機能について

パイロットが出力するパワーを,自転車のペダル部分で測定するパワーメータという装置があり,機体に搭載していました.しかし,今までそのデータを小型マイコンで取得する方法は存在せず,WASA時代では,他センサとの同時測定はあきらめていました. MFTokyo2022にて,パワーメータとマイコンを接続するためのチップの存在を知り,そのチップを使用したマイコンによるパワー計測システムの製作を決めました. チップの評価ボードにて,パワー計測を行うためのサンプルプログラムなどは存在するものの,採用した小型マイコンにプログラムを書き込む方法は文献として存在せず,3か月の試行錯誤の末,プログラムの書き込みに成功しました. また,小型マイコンから外部にデータを送信することも,サンプルプログラムだけではできなかったため,独自に通信プログラムも作成しました. 採用した小型マイコンでの,初のパワー計測実装例であるため,インターネット上での情報共有を予定しています.

パワー計測システム